運命的に出会った一組の男女の愛と激情の日々を、赤裸々な描写を交えてエモーショナルに綴った作品。
海辺のバンガローで暮らす35歳の青年ゾルグは美しい少女ベティと出会い、瞬く間に恋に落ちる。
激しい愛欲の日々を送る2人だが、情熱的すぎるベティの愛情表現は次第にエスカレートしていき…。
映画史上に残る強烈なヒロイン像と衝撃的なラストシーンを生み出した本作は、今もなおフランスのみならず世界中でカルト的人気を博しています。
10代で初めて鑑賞した時は、その鮮烈過ぎる映像と描写に圧倒された記憶が…。
ただ、大人になってから改めて観直すと、これ以上の純愛はないのかもしれないとも感じる。
男性は女性に愛され、男性もただひたすらに女性を愛す。
退廃的で救いようのない愛の形なんだけど、尊くそして美しいと錯覚させる魔法がある。
誰かを盲目的に愛した事がない人は、このセンチメンタリズムは到底受け付けないかもしれない。
若気の至りで片付けられなくもないけど、いびつで、危うくて、もどかしくて、なんとも言えないノスタルジーさが心に響く刹那的な作品だと思います。
ブルーとイエローが際立つ幻想的な映像美にメランコリックな雰囲気。身も心もさらけ出すゾルグとベティ。
決して甘い作品ではないですし、瑞々しさもありません。
むしろ映像を通して匂い立ってくるような生々しさすら感じる。
それでもどこか青臭い記憶を刺激してくるのは、溺れるような中にも儚く懐かしいプラトニックさがたしかにそこにあるからなのかも。