Kumonohate

忍びの者 伊賀屋敷のKumonohateのレビュー・感想・評価

忍びの者 伊賀屋敷(1965年製作の映画)
3.3
市川雷蔵の「忍びの者」シリーズ第6作。霧隠才蔵編としては第3作。島原の乱で果てた霧隠才蔵の遺児・二代目霧隠才蔵(市川雷蔵)が、徳川政権を打倒すべく、由井正雪による慶安の変に加担して暗躍、老中松平信綱の謀略と対決する。

前作および前々作において「家康憎し」の一念で動いていた初代霧隠才蔵に対し、本作において二代目があそこまで打倒徳川に執念を燃やす動機がイマイチ釈然としないため、なかなかストーリーに没入出来ない。当然、感情移入もしづらい。

一方で、島原の乱〜慶安の変と続く松平信綱との因縁や、紀州藩主・徳川頼宣と由井正雪との関係など、史実をキチンと押さえた上でのフィクショナイズは、歴史ファンには強くアピールしそう。

さらに、ワイヤーアクションやスタントマンなどの忍者アクションも、6作目にしていよいよ本格的になってきた。サイレンサーをつけたみたいな刀の切断音や手裏剣の音も、姿や音や気配を殺しながら戦う忍者っぽくてカッコ良い。

八千草薫がくノ一役を演じているも、なんだかありがたいモノを見せてもらったような気がして心が躍る。それだけに、怨みでも怒りでも哀しみでも何でもいいから才蔵に動機が欲しかった。
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