Kumonohate

大草原の渡り鳥のKumonohateのレビュー・感想・評価

大草原の渡り鳥(1960年製作の映画)
3.8
渡り鳥シリーズ第五弾にして最高傑作の呼び声も高い痛快作。母を探す子供(江木俊夫)を連れて釧路にやって来た滝(小林旭)が、飛行場建設を目論む悪徳業者からアイヌのコタンや小さな鉱山を守るお話。

浅丘ルリ子に宍戸錠と毎度お馴染みの顔が並ぶし、小林旭のアクションはちっとも上達してないし、日本なのに堂々とガンベルトをして馬で旅をするという相も変わらずの西部劇だが、屈斜路湖・阿寒湖・摩周湖のロケーションは雄大で爽快。茶色の風景を基調とする本家に対し、「豊かな緑が目に鮮やかな西部劇」という独自の特徴を持つ本シリーズの中でも際立って大草原が美しい。見晴らしの良い景観とあいまって、独特の世界を造り出している。

また、銃刀所持が合法という設定らしいからその点でのお咎めが無いのは納得としても、派手なドンパチで敵を殺しておきながら、パクられるのはジョーだけで、滝がお縄にならない理由は一切語られること無いままに悠々と大草原を走り去ってゆく、という「細かいことでガタガタ言うな」的なエンディングの吹っ切れ方もまた爽快。

爽快づくしの名作である。
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