とむ

市民ケーンのとむのネタバレレビュー・内容・結末

市民ケーン(1941年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

本作はケーンが亡くなって以降、彼の身近な人物である元妻やライバル、部下などに話しを聞き、過去の記憶が映像として展開される構成だった。

この構成から思い浮かべたのは「タイタニック」や「アマデウス」等の作品。
最近だと、白石和彌監督の「凶悪」も近い構成で映像化されていた様に思う。
聞いている人物が一人か複数人かの違いはあるが、他人からの思い出が映像化されると言う構成は面白く作りやすいのかもしれない。

そして「薔薇の蕾」の本当の意味を知ったとき、「あぁ…」と息が漏れた。ラストで出てきた薔薇の蕾の絵の書かれた雪車、あれは冒頭で母との別れ際に雪に埋もれていた雪車と同じ物だろう。彼の死に際に脳裏に浮かんだのは、築き上げた富でも、手に入らなかった愛でもなく、母と過ごした幼い日々の思い出だった。作品の中でケーンが親と絡むシーンは1シーンだけだった為、まさかこのシーンが伏線だとは思わなかった。印象深いラストだった。
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