はる

市民ケーンのはるのレビュー・感想・評価

市民ケーン(1941年製作の映画)
4.5
名作と名高い本作。

以前観た際は良さが分からなかったものの、改めて観返すと質の高さに驚く。


撮影、脚本、演出、美術、演技の間の取り方等、全く古さを感じさせない。
本作が41年公開の映画というのは全く信じられない。
60年代か、あるいは80年前後にモノクロで撮られた映画と言われても信じてしまうだろう。

後世の映像表現へ与えた影響は恐らく映画に留まらない。


並外れた金持ちの人生という多くの人にとっての非現実をベースにしつつも、お金や時代によって変わってしまうものと変わらぬものを描いて共感を呼ぶ、芯の通ったストーリーは見事。

2度目の視聴で初めて気付く細やかな伏線や、哀愁あふれるラスト、時代を先取りしすぎである。

多くの映画監督にとってお手本となったであろうことは想像に難くない。


本作が多くの現代映画の原型となっているからこそ、古い映画に見慣れていない人にとっては、よくある映画がモノクロになっているだけで、何故ここまで評価されているのか分からないように写ってしまうのだろう。


しかしそれこそが、本作が与えた影響の大きさを示しているとも言える。
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