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シン・レッド・ラインのryotaのネタバレレビュー・内容・結末

シン・レッド・ライン(1998年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしく美しい映像がとにかく目を惹きます。戦争映画って泥臭くて血生臭いシーンの連続のイメージが強いですが、この作品は人間たちの戦いを包んでいる自然と地球にまでフォーカスしながら描いているところが興味深いです。

3時間の尺で語られるのはそれほど多くの話ではなく、ガダルカナル島での日本軍との戦いだけです。兵士たちのモノローグ(ナレーション)が全体を通して心情を語っていく形が独特で、物語というよりもエッセイに近い印象があり、妙な没頭感があります。ただ、ゆったりした進行であるためにそれほどの緊張感もなく、恐怖とかそういうのはそれほど感じません。確かに生と死を分ける戦いに臨んでいるわけだからそれなりに悲惨なわけですが、監督の目線がどこか静かに見守っているような感じがして、「戦争は良くない」という反戦メッセージというより、大きな時間の流れの中で、人はこんなことにもなっていた、みたいな自然ドキュメンタリみたいな風にも見えました。賛否両論巻き起こりそうですが、私は映画芸術としてはとても優れた、素晴らしい作品だなと感じました。

まあだたこれが好きか嫌いかで言ったらそれほど好きでもないです。戦争をセンチメンタリズムみたいなのでまとめるような内容にも疑問ですしね。日本兵がやたらと下品で端無くて下劣に見えるところはちょっと気持ち悪いですが、総じてキレイで叙情的戦争映画の傑作なのでしょう。もう、観ないけどね。
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