ききけ

シン・レッド・ラインのききけのレビュー・感想・評価

シン・レッド・ライン(1998年製作の映画)
3.9
開始10分間、戦争映画なのにも関わらず原住民と遊び、自然が流れ、死について語る。面白いのが、通常死を扱う時には生に対しても注目されるが、どのキャラクターもどうやって死ぬかだけを考える。そして多くの死相が切り取られる。どのように生きるかということが語られない。

狂ってしまった人が呟いていた、人間は雑草だ...だとかなんとか、そんなことを表す映画だった。学校に行き、会社に行き、帰る家を持ち、人間はそういったことで自らを特別な何かだと思いがちだが、実はただの雑草と何ら変わらないのではないか。

様々な人間の死の直前が映し出されるのだが、あるものは死相に恐怖を、あるものは神の栄光、家族、恋人、安らぎ、虚無を見出す。こういった文脈で、この映画自体が死という概念を表象しているようにも見える。死に触れる時の人の感情は本物で、神秘そのものだ。

自分が生きることを疎かにしたら、自分はただの雑草だということを再認識するためにも、たまに観返したい。
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