ぶみ

フォーン・ブースのぶみのレビュー・感想・評価

フォーン・ブース(2002年製作の映画)
4.0
電話を切れば、殺される。

ジョエル・シューマカー監督、コリン・ファレル主演によるスリラー。
公衆電話が鳴り受話器を取ったら謎の男に脅迫され、電話を切ることができなくなった主人公の姿を描く。
主人公となる男スチューをファレル、妻ケリーをラダ・ミッチェル、事件を追う刑事をフォレスト・ウィテカーが演じているほか、ケイティ・ホームズ、キーファー・サザーランド等が登場。
物語は、公衆電話を切ると銃撃されるというシチュエーションに追い込まれたスチュの姿が中心となるのだが、やはり特筆すべきは、その設定。
冒頭、メディア・コンサルタントなる怪しげな肩書を持ち、口八丁で仕事をこなすというスチュの人となりが、ものの数分で描かれるという抜群の滑り出しでスタート。
以降、ニューヨークのブロードウェイにある電話ボックスで電話に出たところ、ボックスから出ることができなくなってしまうため、スチュが姿の見えない相手と会話する一人芝居というワンシチュエーションものとして進行、そんなスチュを、困り顔が得意で、ブラッド・ピットを濃くしたようなビジュアルのファレルが好演している。
ただ、ワンシチュエーションものとは言いながら、舞台が人波溢れるブロードウェイという大都会の真ん中であり、カメラもダイナミックに動くことから、例えば完全に閉ざされた空間で電話相手との会話劇のみで進行するグスタフ・モーラー監督『THE GUILTY/ギルティ』等とは違い、ある程度、映像に広がりと動きがあるため、ジャンル映画特有の閉鎖感は高くない。
そんな中、中盤から登場する刑事が、この手の作品では、もはや欠かせないウィテカーであり、そのスーツ姿の安定感は間違いないものであると同時に、カメオ出演的にベン・フォスターが登場していたのも見逃せないポイント。
気がつくと、既に20年が経過している作品であるので、スマホではなく、アンテナを伸ばして使う折りたたみ式の携帯電話は流石に古さを感じさせるものの、当時でも減りつつあった電話ボックスを使わせる必然性が絶妙であり、作品としては古さを感じさせない仕上がりであるとともに、日本版リメイクをするなら主人公役として小澤征悦が浮かんできた反面、何故か洋画ながらイメージビジュアルのファレルを伊藤英明だと勘違いしていた良作。

テレビは人間の悪を映し出すからな。
ぶみ

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