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ヒポクラテスたちのLODGEのレビュー・感想・評価

ヒポクラテスたち(1980年製作の映画)
4.0
ATG作品。
ですが、ATG作品っぽくないなあと言うのが観始めた時の印象。見終わった後の印象はやはりATGだった。

京都府立医大を卒業した大森一樹監督が自らの体験をもとに、大学病院に学ぶ若者たちをいきいきと描いた青春群像。医学生の最終学年は臨床実習にあてられ、6~7人の年齢も様々なグループに分けられる。同じグループになった愛作(古尾谷雅人)ら7人は様々な不安や問題を抱えながらも、臨床実習を通じて次第に医者の卵として成長していくのだが、、、

古尾谷雅人がデカイ。兎に角デカイ。
めちゃくちゃデカイ。何はともあれデカイ。

他の人達よりも"頭一つ"所か人種が違うレベルでデカイ。冷静でどこか冷めていて飄々とした感じが良かったなあ。

医療物はあんまりと言うかほぼ観た事がないんですが、これは医療物と言うよりも医療に携わる者の葛藤や皮肉などが込められていて飽きずに観れた。

最初に書いた様に最初は気の抜けた演出や効果音等で薄暗ーい、じっとりとした雰囲気が多いATG作品の中で割とポップなのかな?と思いきや流石ATG。。。
じわりじわりとそっちの方向に誘導されていたのに気づかなかった。

途中の自主映画のシーンとラストが重なった時、思わず「あ〜!」と唸りました。

医療系に携わった事が皆無なので彼ら彼女らの気持ちは全部理解出来ないが、居酒屋でのシーンでモルモットやネズミを実験でも殺めてしまっている事への葛藤や、医療の在り方、医者としての姿勢を話していて確かに。と思った。

モルモットもネズミも命を奪われる為に生まれて来たわけでは決して無い。
「労働としての医者」「仕事としての医者」では無く本来は「誰かを助けたい」「誰かの命を救いたい」と言うのが本来の動機では無いのか?

そう言う葛藤って何にしてもあるし、寮長の斎藤洋介曰く、「今の所はどちらも正解」なのかもしれない。

段々と主人公が追い詰められて行き、堕ちて行くラストがやはりATGだなあ〜と感じた。

後はキャストが豪華!
手塚治虫、ちょい役なのに癖が強い鈴木清順、またまた登場の原田芳雄、血気盛んな内藤剛志、寮の主の斎藤洋介、斜に構えている柄本明、どこか影がある伊藤蘭、熱血漢の阿藤海、、、、
1人1人のキャラクターが濃くて最後まで皆の進路が気になったので最後に回収してくれてスッキリした。
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