市川準の最後の風景と言葉
2009年12月29日 16時49分レビュー
製作、市川準事務所。2008年作、脚本監督市川準。
「あしたのわたしのつくりかた」が事実上劇場フィルム映画の遺作となります。
本作が本当の遺作、ラスト作品。
ずーっとこちらも気になっていた作品。
市川監督は、特に80年代から90年代邦画を牽引した作家さん。
自分はかなり好きな監督さんであります。
市川監督はざっくりいうと
「小津的小市民世界ドラマ」
のような監督さん。
大作、予算過多な商業ベース作品だとなにか精細を欠く配分になってしまう感じがある。(龍馬の映画、仰げば尊し)
独特の映画スピードと風景描写。
素晴らしい俳優のドラマにからむ都市風景。
東京三部作はどれもサラサラしていて妙に心にひっかかるリズムをもった素晴らしい作品群であり90年代のど傑作だと踏んでいます。
「東京兄妹」
「東京夜曲」(劇場鑑賞)
「東京マリーゴールド」 (劇場鑑賞)
そして、原作脚色物。意外に知られていない傑作「病院で死ぬということ」
僕の大好きな色。
大好きな真田さんぶち切れレインボー「たどんとちくわ」(市川エポック)
商業主義と実験をミックスした異色作品「トニー滝谷」
そしてそして、青春物。
かなり愛好。富田靖子のつるんとしたぶすっとした純な反抗「BUSU」(松竹さんDVD化サンクス)
成海さんのジャケ写真の驚異的な美貌フォト「あしたのわたしのつくりかた」
これまただいだいだいすきな「大阪物語」漫才と池脇さんの成長物語 とうとう (市川エポックⅡ)
本作、東京に兄を探しに来た妹。
東京の絶え間ない風景の挟み込みが、まるでドラマをさしはさまない意思のように風景が、割り込みをかける。
関西弁と兄の行方。
久々の兄貴のわけわからん言い草に(笑)
しかし、この兄貴がとても
市川準自身
に見えて仕方が無い。
彼のマイナスな言動は市川監督の今までの抑制しまくった自分の創作スタイルから解放された
心のへどろのようだ。
中盤以降も浅草の饒舌な風景とラストにむけて兄弟は歩みはじめる。
ラスト付近の雰囲気も良い時間軸です。
多くの東京風景に重なるあたたかい「関西弁」
市川準自身が目指した「大阪物語」でのキャラクターが東京にやってきたようだ。
「東京大阪」の、はてわ、「浅草兄弟」の市川準がめざしたキャラクターコラボのようだ。
短編にみえてやはり長編のようなこざっぱりとした時間。
短いですがどこか過剰なくらいの風景描写
商業主義にまみえず、本来創作の上で我慢してきたものを解放したかのようだ。
あの浅草兄貴から猛烈に感じた。疲弊も感じた。
市川監督本当にありがとう、そしてお疲れ様でした、、、、、、、、。
僕はあなたの作品郡と出会えて間違えなく良かったです。
追伸
「BUSU」のDVDカオーッと。「大阪物語」もホシーなー。