なんともセンス溢れる邦題だ。
声を失って喋ることができないという主人公が、雪深い西部の町に静かにやって来る。
セルジオ・コルブッチ監督のマカロニアクション西部劇。音楽はエンニオ・モリコーネ。主演は『男と女』のジャン=ルイ・トランティニャン。
共演にはマカロニの常連俳優が勢揃い。
口のきけない主人公に代わって狂言回し的役割を担うのが、フランク・ウォルフ。
悪役の賞金稼ぎにクラウス・キンスキー。『夕陽のガンマン』などでお馴染みの、彼の小悪党っぽさに思わず騙される。
色気ムンムンの美しい未亡人にマリーザ・メルリーニ。怪力男を演じるマリオ・ブレガの髭が生えてない姿は初めて見た。
一度見たら忘れられないラストシーン以外にも、秀逸な場面が多々。
窓に反射する蝋燭の灯りのショットから主人公の回想に移っていく場面の演出に痺れる。
主人公の傷の手当てをする未亡人・ポーリーン。徐々に近づく2人の距離。孤独な者同士の魂が共鳴する。互いに身を寄せ合う2人の官能的なラブシーンは必見。