変リクセン

BUGS(バグ)の変リクセンのネタバレレビュー・内容・結末

BUGS(バグ)(1997年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

離島・神島では、観光の活性化を目指してリゾート地の建設が進む中、マリン・フェスティバルを初開催。その取材に訪れたレポーター・由紀(高橋かおり)やディレクター・滝田(木之元亮)らTVクルー一行だが、島民の不審な様子に戸惑いを覚える。そんな中、由紀が船小屋で男性の死体と傷ついた女性を目撃。しかし、翌日警察に尋ねても「そんな“事件”はない」の一点張りで、取り付く島もない。実は島で謎の変死事件が相次いでいたが、観光へのダメージを恐れた岸本観光課長(石塚英彦)や立花町長(奥村公延)山崎警察署長(仲本工事)が公表せず隠ぺい。休火山の噴火問題も浮上する中、事件の背後にフナムシの存在が浮かび上がり…というストーリー。

邦画では非常に珍しいアニマル(モンスター)・パニック・ホラーで、個人的にパッと思いつくだけでも「殺人蜂 キラー・ビー」ぐらい(「寄生獣」は未見だがここに入ってくるのだろうか?)。貴重なので意欲は認めたいし、それなりに頑張っているシーンもあって悪し様に言いたくはないのだが、はっきり脚本がいただけない。

まず何といってもオチが微妙だ。滝田と大型のフナムシとの激闘シーンは、暗い小屋の中なのでわかりにくい。しかも決着がついたかどうかはっきりしない段階で、噴火に伴う揺れによってうやむやに。その後は成長した由紀が描かれて終わってしまうので、「滝田の安否は?」「噴火で島はどうなった?」「岸本と山崎の汚職の責任は?」など全てが謎のまま。恐らく収拾がつなかいと判断したのだろうが、あまりにひど過ぎる。

作品がとっ散らかっている原因は、明らかに噴火という要素が足を引っ張ているせいだろう。別にこの要素を入れずに「リゾート地建設の影響で大型のフナムシが目を覚ました」だけで突っ走れたはずなので、非常に勿体ない。このほか大きなマイナス点は
・一人ぐらいははっきりフナムシが人を殺害するシーンをじっくり見せるべきなのに、ない。
・暗躍していた岸本と山崎に鉄槌がくだらない。
・フナムシを倒すときにせっかく分かった弱点が生かされない。
・上に関連して、公民館(?)の集会でフナムシに関する情報は、海とともに暮らしている島民からもっと積極的に聞き出すようにすべき。
・フナムシと遭遇した女性から情報を聞き出すシーンは、省略すべきでなかった。
・水野(小倉久寛)の息子と母らが出会うシーンでは、よかった的な空気にせず「お父さんと会わなかった?」と水野の安否を気遣うべき。
・フナムシの情報は別に機密ではないのだから、あんなハラハラ感を演出する必要はない。
など挙げていったら正直キリがない。

一方で悪くないシーンもあった。例えば岸本と山崎が密談する場面では、山崎の発言を一切聞かず岸本が喋り続けることで二人の関係性がちゃんと浮かび上がっている。また、最後に由紀がスカートからパンツになっているのも、(政治家の取材だから当たり前なのだが)彼女がレポーターでなく記者として成長していることをベタだが描けていた。

褒められる出来ではないが、日本でアニマル(モンスター)・ホラーがほぼ絶滅しているような状況の今となっては「こんなジャンル映画が作られた時代があったんだな…」と愛でたい存在とは言えるだろう。
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