パイルD3

PASSIONのパイルD3のレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
4.5
三角関係からの喪失を見せた「わたしは最悪。」は男女のフラフラした出会いより、別れのやり取りの方がエグ味があったが、三角どころか五、六角関係に膨らませて、男3人と女2人に集約される欺瞞まみれの恋愛沙汰と、不倫の不毛な終焉を描いたのが濱口竜介監督の『PASSION』

東京学藝大大学院映像研究科の修了作品で、濱口監督の才気が学生時代からギラついていたことを見せつけられる。


【PASSION】

猫の墓を掘る不穏なシーンから始まり、仲の良さそうな、29歳の社会人になった同級生たちがパーティで集まり、宴の後でジンワリと妙な緊張が生まれ、男たちの無駄の多い嘘とごまかしが引き剥がされて、本心が晒され始める…みたいなドラマ。

ストーリー以上に、各々の関係性と腹の内を
剥き出しにしていくプロセスに注目。
嘘と正直、詭弁と正論の入り乱れる友情もへったくれもない姿は、一大イベントと言ってもいい。

五角関係のゴタゴタを、唐突に掻き回すほぼ本音討論会のような、安手の作為性を取っ払ったセリフ劇がこんなにもグイグイくる映画は見たことが無い。
意図的なのかどうか?女性たちの心象に深く入り込まない甘さはあるが、総じてまさかの流れとパワー溢れる脚本に魅せられた。

ただ、賛否分かれるところかも知れないが、あれだけ荒れたのだから、ラストは強引でもスパッと斬り捨ててくれた方が、全体の熱量を貫徹出来た気がする。

とはいえ、
これが学生映画とはとても思えない
パイルD3

パイルD3