KingKazukiManji

PASSIONのKingKazukiManjiのレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
5.0
いやぁすごく面白かった。前向きになれる失恋映画というのにまず感嘆とさせられ、恋愛映画に見られるお涙頂戴もないのが素晴らしかった。また、濱口竜介がもつ恋愛的哲学がほんとに面白く、観客が自分の人生とそれを重ね合わせて考えられるような映画の間のとり方になっていて、文学性のある脚本と映画論的な撮り方、この2つを同時に映画に落とし込める力量がもう素晴らしかった。議論する気持ちよさを映像として表現したり、この頃から既に彼らしい演出というのは完成されていたようにも思え、圧倒させられた。これが商業映画じゃないなんて、ほんとにもったいなすぎる。若干29歳で、しかも学生という予算が限られているなかでこんな傑作を生み出していたことに驚愕させられた。まぁ商業映画になると花束みたいな恋をしたみたいにお涙頂戴が前面に出されて、脚本の文学性が損なわれる可能性もあるから、映画ってのは難しいね。
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