leyla

PASSIONのleylaのレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
3.9
これが卒制とは恐るべし。
同級生とその周囲の人々の恋や不倫の話がメインで、時々何を見せられてるのだ?と思う言葉の応酬なのだけど、緊張感があり目が離せない。セリフのひとつひとつに吸引力がある。これが卒制?と問いたくなる完成度。

暴力と愛を同じベクトルで捉えた作品。被害者と思っていてる自分も実は誰かの加害者になっているという感覚は、先日観た『悪は存在しない』にも通じているのかも。

内側と外側からの暴力の話とリンクするように、自分(内側)や誰か(外側)の言葉がきっかけとなり、登場人物の心情や状況が変化していく様子が描かれる。

工場の煙のシーンの長回しが印象に残った。あと彼女と結婚したいと挨拶する時の彼女の母が男に言うセリフにピリピリした。

まだ3作しか観てないけど、濱口監督はどの作品もベタッとした感情を冷淡かつ客観的に描き、こちらを突き放す感覚があります。最後の答えは観客に委ねる。怖いほど知的であざといので心底好きにはなれないけど、好き嫌いを超えてくる巧さがあるのでこれからも追っていきたい監督です。
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