似太郎

東京暗黒街・竹の家の似太郎のレビュー・感想・評価

東京暗黒街・竹の家(1955年製作の映画)
4.7
🇺🇸🇯🇵アメリカ人による勘違い東洋趣味(エキゾチカ)が炸裂したフィルムノワールで、公開当時日本の良識的な映画評論家(双葉十三郎etc)が「国辱もの」とボロクソ貶した問題作でもある。

典型的な国辱映画いう意味ではソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』の先駆け的な作品かも知れない。とにかく日本という国を恰もディズニーランド的に茶化しまくる。そこら辺もやはりソフィア・コッポラが脳裏を過った。

今観ると別に政治的な意図は皆無で、むしろ石井輝男辺りが作るエクスプロイテーションフィルムや『燃えよドラゴン』的なゲテモノ感覚。🐲

ヒロインを演じた李香蘭(山口淑子)は好きな女優の一人。戦時中、主に満洲で人気を博した歌手で日本、米国、中国の狭間で揺れるパッショネイトな歌声が魅力。アメリカのFBI捜査官役には名優、ロバート・ライアン。彼も渋い存在感がありなかなかGOOD。悪役のロバート・スタック(元祖ネス隊長)も捨てがたいが。

そのテンション高めな演出はタランティーノの『キル・ビル』二部作にも引けを取らない。現実世界と何の接点も無いところも含めて、一種のオモチャ箱映画なのだろう。こんな夢のある痛快アクション映画を真面目に「国辱ものだ」と批判する方が野暮だろう。🤷‍♂️

寧ろおれとしてはトム・クルーズの『ラスト・サムライ』や『硫黄島からの手紙』とか『ベイマックス』の方が遥かに政治的な意図がミエミエで気色悪い…。(そっちの方が日本の観客は好むのだろうが)。
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