KnightsofOdessa

8月の終わり、9月の初めのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

8月の終わり、9月の初め(1998年製作の映画)
5.0
[メンヘラルドワイヤン最高] 100点

アマルリック、バリバール、ルドワイヤン、クリュゼという豪華過ぎるメンバーのアンサンブルということで、どこか『ブロークバック・マウンテン』の孕んでいた潜在的豪華さを思い出してしまうアサイヤス90年代最後の作品。『冷たい水』で即興的な撮影を学び、AIDSで友人を亡くしたアサイヤスは、この映画で"死"と向かい合っている。しかし、アマルリックとバリバールが、バリバールとクリュゼが、クリュゼとルドワイヤンが、ルドワイヤンとアマルリックがくっついたり離れたりする本作品にとっては一つの主題及び映画的帰結として機能しているに過ぎない。つまり、創作に悩むクリュゼと編集のアマルリックの関係、そしてクリュゼが亡くなることで映画は2時間で完結してしまうが、前半部はあの調子で延々に続けてくれても困らないほど素晴らしい。だからこそ、クリュゼを唐突に失った悲しみとの対比は見事であり、ルドワイヤンの絶妙なメンヘラ感と相まって心を鷲掴みにされてしまった。

編集と作家という関係は『ノン・フィクション』でも繰り返されていた。この人はフィルモグラフィーを横断した繰り返しとか続編とか好きなんだろう。
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