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8月の終わり、9月の初めのsonozyのレビュー・感想・評価

8月の終わり、9月の初め(1998年製作の映画)
4.0
引き続き、オリヴィエ・アサイヤス監督作を。

仕事も女性関係も不安定な、編集者のガブリエル(マチュー・アマルリック)
ガブリエルの元カノで出版関係の“いい人”ジェニー(ジャンヌ・バリバール)
ガブリエルの今カノで仕立屋で働くメンヘラなアンヌ(ヴィルジニー・ルドワイヤン)
ガブリエルの友人、悩める作家アドリアン(フランソワ・クルーゼ)
アドリアンの彼女、16歳になりたてのヴェラ(ミア・ハンセン=ラブ)

彼らの関係があれこれと錯綜しながら、時が流れていく。
病気・作家人生・若い恋人との関係等に苦悩していたアドリアンの死を受け止める残された人々。
何かを成し遂げたり成功したり充足したりしたわけではない人々の、新たな時間がまた流れ始める。。

『8月の終わり、9月の初め』というタイトルですが、実際の8月・9月という季節ではなく、人生のある悩める時期が終わり、新たな時期が始まる的な概念という感じでしょうか。

見どころは
●メンヘラで性に奔放なアンヌ役のヴィルジニー・ルドワイヤン。
●ガブリエル、アドリアン..皆を支えるいい人ジェニー役のジャンヌ・バリバール(サン・セバスティアン国際映画祭で女優賞)
●やっぱりダスティン・ホフマンにどこか似てる?フランソワ・クルーゼ。
●現在は監督して活躍しているミア・ハンセン=ラブが本作でデビューしていたとは。
●ヨーゼフ・ボイスの鹿の絵
●テレビ局のプロデューサーがアドリエンを馬鹿にした際にガブリエルが放つ「彼は物語ではなく、見える世界を語ろうとしているんです!物語によってまだ世界を語れると思ってます?」

上手く説明出来ないですが、不思議とジワる魅力のある作品です。

〈メモ〉オリヴィエ・アサイヤス監督のコメントから
「現在において、絵画における印象派のような映画への道、方法を探していた。日常生活とアートの実践が同じひとつのものであり、互いが淀みなく流れ、循環し合っているような道を。」

「結果としてこの映画が語っていること、それは、重要なのは時間をどのように使うのかということ、時間についての意識だ。登場人物たちは変化し、成長する。でもそれは彼らが時間を意識することを通してのみ可能となる。」
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