Jeffrey

8月の終わり、9月の初めのJeffreyのレビュー・感想・評価

8月の終わり、9月の初め(1998年製作の映画)
3.0
「8月の終わり、9月の初め」

冒頭、陽光と夜のネオン。編集者の男。別れと出会い、人生の模索、小説家の病、流動的な構図、手持ちカメラ、会話劇、列車の中、レストラン、そして長回し。今、僕たちは人生の居場所を見つける…本作はオリヴィエ・アサイヤスが1998年に監督した愛と死、そして人生を模索する傑作として名高い一品で、この度BD化され初鑑賞したマチュー・アマルリックとジャンヌ・バリバールの圧倒的な演技が素晴らしい。去年DVDボックスを購入して初見したサッシャ・ギトリ系の対話合戦が見所の1つと言えると思う。日常的な会話から得られる情報が物語を引き継ぐ。

さて、物語は編集者のガブリエルは、長年のパートナーだったジェニーと別れ、アンヌと付き合い始める。 そんな折に友人の小説家が病で倒れてしまう。生き残った者たちが模索する今後の人生。 何人かの恋人や友人が、自分の人生の生き方を決めるために自分の理想とより調和した仕事を見つけ、恋人にコミットし、自分を愛していない恋人を諦め、大人は成長していく…的なニュアンスがある物語である。

本作は冒頭に、Ali Farka TouréのGoye Kurが流れ、1.ガブリエルの不動産問題と文字が出る。ファースト・ショットは女性の胸から上のショットである。男(ガブリエル)が夫婦らしき男女に部屋の説明をしている。どうやらこのアパート(このアパートはガブリエルとその彼女が住んでいる部屋)に住もうか決めているようだ。客の2人は騒音を気にして聞くが、ガブリエルは交通量も少なく静かだと言う。結局2人はもう少し考えてみると言いその場から退散する。その場に残された2人は友達の病状について語る…と簡単に説明するとこんな感じで、「冷たい水」同様にドグマ95的なブレを感じる作品だ。


うーむ、俺はこの監督苦手だな。何本か観たが好きな作品は今んとこ無いな…。マチュー・アマルリックが出演しているからか、アルノー・デプレシャンの作品を彷仏とさせる。彼の作品も苦手、アサイヤスと作風が似ている。この作品に関しては夏をテーマにしているタイトルなのに、登場人物が冬服を着ているのが違和感である。コートにマフラーに革のジャケット…まるで冬の季節を舞台にしているかのようだ。んで中華料理屋だか日本料理屋だかどっちかのアジア料理店でのただの食事と会話が個人的には好きだった。

20歳から30歳の友人の小さな集団の生活の中での1年の瞬間と、その中で最年長の病気と死に続く、映画の美しい繊細な一片。 本当の陰謀はなく、感情は決して激しいものではないが、成長して世界中で自分の場所を見つけるのに苦労している友人や恋人のポートレートを提供するかの如く興味深い断片が彼方此方にある。多分繰り返しの視聴により気に入っていく繊細かつ感情的な体験を味わえる様な1本である。超、素晴らしいって映画じゃないが好感が持て、インテリジェントで立派な映画ではあるよね…。
Jeffrey

Jeffrey