網走刑務所にちなんだ男の任侠を描いた「新網走番外地」シリーズの5作目で、「番外地」シリーズ通算15作目。
高倉健が主演、岡田真澄、ジューンアダムス、由利徹、山城新伍、若山富三郎、谷隼人らが共演。
雪で覆われた北海道のカムイベツが舞台。
囚人の末広勝治（高倉健）は、網走刑務所で看守に歯向かったため、野外作業の森林伐採中に後ろから襲撃されて殺されかける。
その際、神父に救われる。
それがきっかけで、末広は出所すると神父を訪ね、任侠のしきたりに習って神父と親子縁固めを行い、神父の教えを守りながらも不良少年たちの更生を手伝う。
そんな中で仮出所中の少年ボクサーである大関（谷隼人）の面倒をみることになり、彼の北日本新人王決定戦への挑戦をフォローするが....
「任侠に生き 男を叫ぶ 大雪原に繰り広げる雄渾の叙事詩」
高倉健が、キリストを親分と思ったり、聖母マリアを先代の姉さんと勘違いしたり、マリアの処女懐妊を理解できなかったり、ブラザーとブラジャーの区別がつかないなど、コミカルな描写が笑いを誘います。
不器用な高倉健の修道女への片想いも微笑ましくホッコリです。
一方で神父の「もし誰かがあなたの右の頬を打ったなら左の頬を出してあげなさい」の教えを健気に守る高倉健が渋いです。
終盤では逆縁流れ盃を返して、一人、雪の大地を馬で猛進し、ドスを携えて悪党の五十嵐組に殴り込みをかける。
倒れた石油ストーブによる出火が決斗を盛り上げます。
一方で、救われずに命を落としていく人が多いのが残念です。
「親分！」
2023.2 BS12で鑑賞
