イチロー51

オリヲン座からの招待状のイチロー51のレビュー・感想・評価

オリヲン座からの招待状(2007年製作の映画)
3.0
浅田次郎の小説を宮沢りえ主演、加瀬亮共演で映画化した心温まる人間ドラマ。閉館を迎えた老舗の小さな映画館“オリヲン座”を取り巻く人々をノスタルジーに描く。

主演に宮沢りえ、加瀬亮
共演に宇崎竜童、田口トモロヲ、樋口可南子、中原ひとみ、原田芳雄ほか。

とても綺麗な作品なのは分かります。
純愛を描きたかったのでしょうが、なぜか感情移入出来ず、感動出来なかった。
本当に貧乏だったのか、途中で子役中心の描写になったり、意図が良く分からない描写があり、妙に説明的な台詞があったりして、テンポが悪いと感じることもありました。

映画を愛する内容は一緒ですが、「ニューシネマパラダイス」を期待していると肩透かしをくらいます。

晩年の2人はそのままの宮沢りえと加瀬亮で出来なかったのか?
演技は上手いが、原田芳雄は可也違うと感じた。

昭和30年代の雰囲気は出ていた事と音楽はとても映画にマッチしていました。

ラストの8mmフィルムに写る宮沢りえの可愛らしい表情がとても印象的で、ノスタルジアを表現していて良かった。

〜余談〜
この時の宮沢りえは30半ば、かなり痩せてしまった頃だと思われますが、綺麗です。
役者としても秀逸で、台詞の言い回し、表情豊かで、笑顔、泣顔、素晴らしい演技でした。

本作のような作品を観賞すると平家物語の冒頭を思いだす。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵におなじ。

この世のすべては絶えず変化していくもの。どれだけ栄えていても、時が経てば必ず衰退してしまう。勢いが盛んな者も結局は滅亡してしまう。
そんな、時の移り変わりに哀愁を見出している作品。