フジツカ座

オリヲン座からの招待状のフジツカ座のネタバレレビュー・内容・結末

オリヲン座からの招待状(2007年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

引くくらいネタバレしてます。

どうかご注意を。





全体を通して色々と語られてない事柄が多かったのだけど、一番気になったのはやっぱ、留吉とトヨの関係性についてだ。

松蔵が病死したあと、なんやかんやすったもんだあって、蛍のシーンは4.5年後。ここで!!初めて手を握ったと。どんだけ純朴っと軽いツッコミを入れたところで、ここまでもうほぼ、ほぼほぼ皆無に近いくらいに、愛だ恋だと思わせるシーンがないことがまずひとつ。百歩譲って留吉サイドには、トヨへの献身的な愛情が見え隠れしていたかもしれない。しかし、トヨサイドはそれがその片鱗さえ見られなかった。

なのに世間からは後ろ指を指されている描写が何度かあり、なんか奥歯に物が詰まったような、なんとも言えない気持ち悪さがずっとあって、モヤモヤモヤモヤしてしまった。

ラストではあげく留吉がオリヲン座を守ってきたのは他の誰の為でもなくトヨの為だったんやでみたいなことを言うし、それ聞いて私もういつ死んでもええ。みたいな返しするし。何十年も大事にしてた松蔵のハンチングに謝れ!と、さっきより強めのツッコミを入れたりね。ほかしたらあかんという松蔵の言葉を盾にしておいて、そりゃないぜと思いました。

そのへんの熱量のアンバランスさが、ちぐはぐしてる気がしてならなかったかなー。

加瀬亮の髪型がどうしても昭和中期の頃のものとは見えなかったし、その数十年後を原田芳雄が演じるには、声がドス感効きすぎて無理があったし、なによりオリヲン座がそこまで続けられた事への背景的理由が見られないから、閉館への感慨深さも薄まってしまう。集まってくれたお客さんたちに表情も色も感じられなかった。

あとたとえ蛍でも蚊帳の中に虫入れられたらぼくなら手を握るどころかむしろ開いて、さっきの5倍の強さのツッコミを入れてるだろう。


留吉とトヨのエピソードがもっと観たかったです。ほんとうに。そこをもっと太く見せてたら、もっともっと着地が違ってたかも。
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