ポンコツ娘萌え萌え同盟

江戸怪賊傳 影法師 前篇のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

江戸怪賊傳 影法師 前篇(1925年製作の映画)
3.5
憂いなアンチヒーローな阪妻、いいですね。
江戸にその名を騒がせる盗賊の"影法師"。御用には追われるし、解決のために盗みもする場面もするのも多々。ただ完全悪と言えるキャラクター像ではない。立場の弱い人間は助けるし下劣な輩は許せないヒーロー的人情。
いわゆる本作は義賊モノではあるが、その立ち位置的に善と悪を揺れ続けるその"中途半端さ"がたまらない。果たして強さとはなにか。
他にもお栄への恋からの心の迷う。思い悩む影法師の画面の四隅でお栄を合成して、最後に真ん中にお栄の顔がでかでかと合成される場面があるほど…。

そんな彼の精神面と感情にはが醍醐味の作品ではあるだろう───と生で伴奏や活弁を聴きながら思う。
正直伴奏と活弁がなければ本作の評価は個人的にもう少し下っていたと思うのだけど、伴奏と活弁が場面の盛り上げ方から影法師の感情と上手く合致していたのもあって特に後半辺りからは見ごたえがあった。絶対に盛り上がるはずの後編が現存しないのが悔やまれる。