モモモ

劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオスのモモモのレビュー・感想・評価

4.3
小1、小2?以来の?とにかく小学校低学年の時に劇場で観て以来の再鑑賞。
思い出補正を抜きにして、のめり込んでしまった。
ここまで完成された「子供向けファンタジーアニメ」だったとは…記憶の中で美化されていったのだと思っていたが、今の時代にも通じる普遍的なアニメ映画の傑作。
短編との同時上映により70分代というコンパクトな上映時間がむしろ作品の完成度を高めている上質で無駄のない作品。
「水の都」と言う舞台特有(劇場版作品故の独立した空気感)の「水上レース」でタイトルイン、ロケーションと完璧な背景美術が融合した「美女に誘われ街を彷徨う」序盤を経て、あとは闘い、闘い、闘いの二幕構成。
「街そのもの」と冒頭で示した水上レースを活かす後半戦も勿論実物なのだが、個人的に心奪われたのは前半戦だ。
ベネチアそのものである「水の都」が纏う神秘性が、とにかく素晴らしい。
サトシ一行と共に旅に出た様な、そんな錯覚を体感する事が出来る。
水の都で美少女(というか美ポケモンだが)と過ごす夏の1日。
何という理想的なボーイミーツガール。
「千と千尋」と「時をかける少女」を同時に摂取した様な充足感。
TVのどのエピソードよりも「サトシ達は旅をしているのである」事実を理解出来る作品だ。
化石ポケモンの復活と街そのものの暴走の果てに待っているのは「自己犠牲」による神話の再現。
「ミュウツーの逆襲」もそうだが、初期ポケモン映画は「一線を越えてしまう」ので傑作になってしまうんでしょうね。
明確に描く「ポケモンの死」と「ポケモンと人間の愛」。
相棒感覚の友情は散々描かれているが、ラストシーンのアレは、もう明確に「異種間での恋愛感情」でしかないでしょう。いや、ラティアスが人間の真似をして、ああした行動で別れを告げた可能性は多いにありますがね、僕はシェイプオブウォーターの先取りだと言い続けたですよ。
しかもこれ、おねショタですからね。とんでもねえよ。
子供の頃の僕には刺激が強かったけど、今見ると、何て美しく、情緒的なキスシーンだろうか…と惚れ惚れしましたね。
街を救うのは兄妹の愛。最後に残るのも愛。別れても愛は不滅。何て素敵なボーイミーツガール…。
「物語上何の役にも立ってない」ロケット団も緩和剤としては上等。
良い映画だ。良い夏の映画だ…!!!
モモモ

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