喜連川風連

座頭市物語の喜連川風連のレビュー・感想・評価

座頭市物語(1962年製作の映画)
4.5
達人同士の勝負はほんの一瞬で片がつく。

凛とした間と暗闇がもたらす陰影が勝新太郎の佇まいと調和し、芸術の域に達している。

夜は提灯を持って歩き、屋内はしっかり暗い。これだけでも、平成版座頭市の何億倍もいい。暗闇がしっかり暗闇として存在している。

提灯をフッと消して、ただ一刀のもとに相手を切り捨てる姿。カッコいい。

背景美術の見応えも十分。
出陣前に頭上で火打ち石を打つ。
殴り込みには古式船で乗り込む。

パイプには火をつける描写がしっかりある。

メクラの人に女性がどんな顔かわかるように、満月に照らされるなか、顔を触らせるシーンがとても艶っぽくて美しい。

謙虚ながら自分の生き方は決して曲げない。立場が違えば無二の親友になれた2人が引き裂かれる。

ナルトの柱間とマダラを見ているようだった。

ナルトの岸本さんも座頭市を元にしているかもしれない。ワンピースはちなみに次郎長を元にしているそうだ。

ロングショットで構えられた画面いっぱいに人と顔が動き、気持ちいい。ダァッと人とモノが動くところに実写の面白さとダイナミズムがある。

神話の構造に基づいた1人の少年の冒険譚ばかりではない、ありとあらゆるジャンルの娯楽映画が華開いた当時の邦画はやはりすごい。
喜連川風連

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