茜

デッドリー・フレンドの茜のレビュー・感想・評価

デッドリー・フレンド(1986年製作の映画)
3.5
バスケットボールのシーンで有名なアレ。
この場面が一人歩きして、てっきりおバカホラーだと思い込んでたけど、予想外の悲哀に満ちた話でしょんぼりしてしまった。

天才少年の主人公ポールは自作したロボットのBB君や隣家の美少女サマンサと楽しい毎日を過ごす。
しかしながら近所の荒くれ婆さんにBB君をライフルで破壊され、そのうえサマンサが父親の暴力により脳死状態に陥るという悲劇…。
友人とガールフレンドを一気に失ったポールは悲しみの末BB君の電子頭脳をサマンサの脳に埋め込んでしまう。

主人公の親友とガールフレンドが一体となって蘇るなんて考えただけでカオス。
どう転んでも誰も幸せにならないであろう展開に常時泣きそうでした。
美少女サマンサがロボットのようにカクカクな動きをしたり、怪力でババアの頭部を破壊したり…普通のホラーなら楽しく笑えるんだろうけど、悲劇的な結末への不安が常に脳裏をチラついて心から楽しめなかった(泣)
前半から割と頻繁にモザイクがかったようなBB君の視点を挿入してくるんですが、この演出が後半で活きることになるとは。
まだ少年の主人公が悲しさ故に暴走してしまう気持ちも否定出来ず、ただただ傍若無人な大人達によって引き起こされた悲劇のお話という感じで私には想像以上に重たく刺さった。

だからこそあのラストはいただけなかったな~…一気にチープな印象に成り下がってしまった感。
もっとこの悲哀を引きずらせて欲しかったし、このオチがなければ心から名作と呼べる一品に仕上がったのではなかろうかと思うと非常に惜しい。
茜