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ナインのmitakosamaのレビュー・感想・評価

ナイン(1983年製作の映画)
3.3
あだち充のアニメとしてタッチの前に作られていた作品。よく詳細がわからないのだが、テレビスペシャル3部作がありその内の1作目だけが劇場公開されたようだ。残り2作も映画にしたら良かったのにね。

まぁ、基本あだち充なので、キャラも内容も他の作品とそんなには変わらない(笑)
やはりヒット作であるタッチと比較して見ちゃうのは致し方ない。
この3年後にタッチのテレビシリーズが始まるとしたら、今作はまだまだ絵が雑…というか安定していない事なと思う。(逆に言えばタッチが凄い進化していた)
あだち充のテイストと、まんがっぽい絵柄とリアルっぽい絵柄とが振り切れていない印象はある。だがタッチにも引き継がれた白を活かした背景などは今作の時点で完成されている事も注目だ。

青秀高校に入学した陸上部出身の新田と柔道部出身の唐沢は、野球部のヒロイン百合に惹かれて、素人ながら野球部に入部。父の反対で野球が続けられずにいた倉橋を説得し彼も入部。高校生らしからぬレイバン風色眼鏡がよくお似合い。
新田・唐沢・倉橋を中心に野球部が描かれる。
ライバルとして武南高校の山中が登場。ユリっぺの幼なじみで、彼女に猛アプローチする。
甲子園のエースでもある山中に対し、新田は野球と恋にライバル心を燃やす…という内容だ。

あだち充の上手いなと思う所が、サブヒロインとして安田雪美だ。彼女が出てから俄然面白くなる。野球ではまだまだな新田だが、陸上の実力者として雪美をコーチしてあげるという展開だが、これまた雪美が新田に猛アプローチ。
まだ山中と百合が進展していないうちに、ヒロイン側の恋のさや当てを設けることで展開が一気に変わる。しかももの凄いコケティシュで積極的な魅力あるキャラクター。その上cvが坂本千夏だぜ。トトロのメイちゃんの声だ。
陸上のホットパンツで煽り気味で背中からお尻を見せるカットが割とあるが、こういうセクシャリティの見せ方も上手い演出だ。

物語は、新田の足の怪我により試合に負けて、しかも山中は甲子園優勝というライバルの優位性を示して終わる。新田の逆襲を予期させて続く展開だ。

タッチのプロトタイプ的な作品だとも言えるが、今作も十分すぎる魅力が堪能できる。曲の良さにも注目。
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