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スタンド・バイ・ミーのIDEAコメント休止中のレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
3.9
寂れた田舎町、子供だからこそ感じる今の環境への閉塞感。それはきっと、大人になれば諦めに変わる。
子供ならではの純粋な心を通して見つめる未来の自分。良い未来が思い描けない不安。
自分はこの町でずっとこのままなんだろうと目を伏せる。

そんな時突然降って湧いた《町外れの森の死体》の話。何かが変わるかもしれないという期待も持ちつつ、自らの足で目指す30kmの旅。いつまでも心に残る2日間はこの4人だったからこそ。
逃れられない生まれながらの環境、親兄弟の呪縛から自由になれる気がした旅の中で、少年たちは顔を上げる。

大人になってからでは経験できない、あの頃の澄んだ友情、自由への高揚感。
歳を取り、ふと思い出す。
二度と経験できないあの日々を。


自分たちの足で目的地を目指した4人と、楽な車で死体を探しに行った不良たち。
友情で結ばれた4人に対し、そうするしかないから…と群れている不良たち。
これから未来を変えられる可能性に満ちた4人に対し、不良たちは既に未来を諦めてしまったよう。
こうした対比が非常に興味深く感じられた。

ただ、初鑑賞は劇場で!と意気込んで観に行ったものの思ったより刺さらず。
青春映画の金字塔とされていることに違和感はないが、エンディングでベン・E・キングの『スタンド・バイ・ミー』が流れなければ評価はどうだったろうか?という思いが拭えず。もちろん、主題歌も含めて一つの作品であるから分けて考える必要もないのだが…。

素直に感動できなかった今の自分を振り返るべく、数年後にまた観たいと感じた作品であった。