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スタンド・バイ・ミーのbebeのレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.4
スティーブン・キングの良さが一番出てる(と思う)作品。
少年4人組の死体探しの冒険と、それを通した彼らの成長のお話。そもそも、個人的に思うスティーブン・キングの良いところは「通過儀礼」「子供から大人へ」っていうところ。だから設定としては特殊だけど、それはテーマと呼べるようなものではなくって、彼らにとってたまたま、結果的に、大人への入り口が「死体探し」になったってだけ。正直なんでも良かったし、誰も通過儀礼のなんたるかは知らない。と思ってる。

映画版は原作小説と比べて、登場人物の役割とか、後日談の具体性とか、細々と違いはあるんだけど、何より大きい変更は、ラストの暴力シーンのカット。これで映画の「青春冒険物語」の感じが決定づけられてる気がする。「旅」の映画。
原作はあんまりハッピーエンドとはいえないのでこれはこれで良いのかも。

「旅」という通過儀礼を超えて、あるいはその中で、理不尽とか自己責任とか、そういう大人の世界を経験する。小説の端的な描写も、どことなく感じる映像作品。

評判や好奇心を動機に、背景の違う友人と日常を飛び出す姿は『トム・ソーヤ』を髣髴とさせる。

と、こんなふうに、原作以上に「旅」に注目した映画なんだから、後日談の大幅削除も、「効果的」と言っていいんじゃないかなと。
見る側も、「子供たちが大人になる瞬間」を見逃さないようにしたいところ。
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