ソラ

スタンド・バイ・ミーのソラのレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.5
個人的に4月は過去の名作強化月間。
環境が変わるこの季節に観たいのは、スティーブン・キングの”The body”を映画化した色褪せない伝説の一作。

幼少期、私たちは大人に憧れ背伸びをする。興味もない学術書を手に取ったり、小洒落た音楽を聴いたり、仲間と何かを成し遂げたり人によってその方法はあるだろう。
死体を見つける事で有名になろうとするのもその一つだ。彼等がひと夏の短い旅路で得たものは、人間の死と仲間との貴い思い出。
人生を基準にして見れば、ほんの一部に過ぎないあの瞬間は儚くも二度と取り戻せない。
確実に走馬灯には立候補してくる。

大人になっても馬鹿をする人は少ない、というかほとんどいない。将来の事なんて何も考えずただ虫取りや自転車で近くの市民プールに行き、帰りに駄菓子屋でアイスを買って堤防で友達と他愛無い事を話しながら過ごしたあの頃の記憶が手に取るように戻ってきた。
本作には、確かなノスタルジーとカタルシスを得る事ができる不思議な力がある。

ロブ・ライナーによる大胆な脚色や一度聴けば耳から離れないStand by meは後世に語り継がれるべき作品の要素として後押ししている。

頼り甲斐あって、心細い時には寄り添ってもくれるリバー・フェニックス演じるクリスはスティーブン・キングの生み出したフィクションのキャラ。確かにあんな友達子どもの頃いたらどれ程良かったか。
大人になったゴーディが、旧知の友人であったクリスの死を小説のタネにしてしまったことから、少年の頃とは死に対する敬虔さは失われている。

大人に変わるってことは、汚くなることなのかもしれない。
ソラ

ソラ