ちろる

ジェイン・オースティンの読書会のちろるのレビュー・感想・評価

3.8
突然20年連れ添った夫に別れを切り出されたり、夫と心が通じ合えず満たされない毎日を過ごしたりして、人生に少し行き詰まりを感じた人たちが織りなす群像劇。
ただの女子会というのではなくて、ジェイン・オースティンの6作品を、一人一作ずつ担当して発表をして語り合う。これは今欧米で以前から大ブームだそうです。
ただ飲んで愚痴言い合う飲み会なんかより凄く知的な遊び方で素敵です。

これは私の勝手な肌感ですが、アメリカ人って特にジェィン・オースティン好きですよね。
抑圧された時代にただ男性の理想の女を淑やかに演じるのではなくて、自分の意見をはっきり言ったり、周りに遠慮せずに行動したりするヒロインも数多く出てくるジェィン・オースティン作品ってたしかに共感性高いのかな?

ちなみにこの物語で紹介される6作品は登場人物の人生と照らし合わせて紹介される。

結婚暦6回で読書会では母親的存在の女性のバーナデット
夫に急に離婚を迫られたシルヴィア
犬に人生捧げる独身主義者のジョスリン、
LGBTでGFのいるアレグラ
夫と話が通じず生徒にときめいてしまうプルーディー
SF小説好きでオースティン初心者の恋に奥手な男性グリッグ

みんなオースティン作品が好きという共通点はあれど置かれている立場も性格バラバラ。だからこそ、自分は誰かなーって当てはめて見るのも楽しいし、自分も一緒にこの読書会に参加した感覚で観るのも良いかと思います。

作品を通して自分の想いを伝えたり、ディスカッションを通して新しい価値観を見つけてまた、作品のさらなる魅力を取り入れたり・・・
読書会って聞くと少し高尚な気がして自分が参加するとしたらかなり緊張しちゃいそうだなーなんて思ったけど、彼らの読書会を観たらなんだか楽しそう。
作品を通してるから、自分の事を織り交ぜていても直接的に否定されてる感じにならないしね。

この作品で、皆がちょっと作品とシンクロするような出来事を気がついたら経験していてそれが楽しい。
不器用で憎めない6人の登場人物たちが6作品を通して途中ぶつかったりしながらそれぞれ納得のいく幸せを掴んでいくので最後はほんと温かな気分になります。
ジェィン・オースティン作品が好きとはいえ、きっとただ一人で6作品を読んでるだけでは出なかったはず、読書会で皆が交流できたからこそハッピーエンドを導いたに違いない。

まだ私はジェィン・オースティン作品の原作は、3作品くらしいか読んでいないので、無性にこのジェィン・オースティン読書会したくなりました。
オースティン作品好きは確実に楽しめるし、全く読んだ事ない人も作品としては楽しめるはずなので、幸せな化学反応が起こる群像劇に興味ある方は是非鑑賞してみて下さい。
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