せいか

ジェイン・オースティンの読書会のせいかのレビュー・感想・評価

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4.23、アマゾンビデオでレンタルして視聴。本作の原作は未読(オースティンは既読)。

感想︰結局ちゅっちゅかちゅっちゅかすりゃハッピーエンドなんですわ!!!!よはすべてこともなし!!!!All's right with the world!!!!!おファックですわ!!!ブラウニングも言うとる!

Twitterでも原文ママでぼやいたが、これに尽きる。

主役たちの少なからずがそれぞれに人生の躓きを感じていた中で、初対面だったりもともとお友達や身内だったりというメンツでジェーン・オースティン縛りで読書会をすることになる。月一全六回、各回に一作で進行役は一人ずつ回ってくるという感じ。
放映当時はアメリカ社会でそれなりに読書会という集まりが人口に膾炙するものとしてあったようで、そういう現実の流行と地続きの関係にあるようだ。(cf.「読書会ブームから生まれた、全米ベストセラーの映像化!」https://www.sonypictures.jp/he/843374)

読書が趣味と一応言えるのと、読書会というものに多少の興味があるのと、オースティン作品をどう絡めるのかとで長らく気にはしていた作品だったが、何というか、典型的ってくらいのザ・アメリカのラブコメでしかなかった。愛とか恋とか悩みとかあるよね、あるけど、まあ終わりよければ全て良し、みんなにパートナーがてきたり夫婦関係も改善されてラストは怒涛のちゅっちゅかエンドですわである。

問題のオースティンも作品全体に話題には取り上げられていたけれど、そこまで密接に関わるでもなく、読書会シーンも登場人物の人間模様がほぼメインで、なんか感想とか言っててもかなりライトなところで留まっている。あと描写自体はほぼ一瞬である。読書会というものがそんなもんなのかは知りませんが。個々に好き勝手な感想語るにしても、だいぶ、どこに目を付けてるんだみたいなことは思うというか、そこに話は尽きるんかというか、オースティンじゃなくても良くね?というか……。

たぶん、アメリカ社会で裕福ってほどてはないけど金銭面で戸惑うような描写をあえて挟まなくてもいいようなそれなりに余裕のある暮らしをしている人たちがわいわいやってるのをオースティンの作品傾向と重ねつつ展開させてるんだろうなとは思うけど、それにしても別に必然性とかは感じない(というかこの浮ついたところでうだうだして人間関係やってるだけに尽きてるのもあえてオースティン使う意味の分からなさに拍車かけてるというか)。

例えば、見当違いに恋のキュービッドをしようとしてるくだりみたいなのとかそれこそ『エマ』とか引用できるよなとか思うんだけども。
オースティン自身の恋愛観とか作品から見られる彼女の男女間についての限界とか話もほぼそこに尽きていて、オースティンや執筆当時の社会を踏まえることもなく何というか好き勝手言っているというか。そこらへんの現代の恋愛小説でも読んでるくらいの俎上の上げ方しかしないというか。ニコラス・スパークスの読書会でもすればいかがか?と思うというか。高尚な話をしろという話をしているのではないんですが。

ラストは結局そこをハッピーエンドとするのかっていう暴力的なまての話のまとめ方で、恋愛至上主義というか、あったけえ世界だなというか。

話の内容自体は恐ろしく単純明快なんだけど、わけがわからない。そんな作品でした。

あ、最初の、ひたすらなんだか人生ままならないこまごまとしたうまくいかなさ映像集オープニングはそれなという感じでした。お札がなかなか読み取られずに戻ってくるとか、そういう些細なやつ。
本作もそういうちょっとした生き難さが生活には必ずあることという前提があって話が進展してるのだろうけどもね。なんか適当に押し流してる感は否めない。おれは流されたりせんぞ。
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