TakayukiMonji

奇跡のTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

奇跡(1954年製作の映画)
4.1
カール・テオドア・ドライヤーの54年作。

まずもって、映像の美しさに目を奪われる。そして、ほとんどをボーオン家の部屋の中のやり取りで展開されていくが、会話と物音の音の密度がすごい。インガーの苦悶の叫びがリアルで、苦しかった。ラストシーンの衝撃。



以下、ネタバレ。






宗教を取り扱った作品だが、わかりやすく、信仰とは何かを問いかける。神を信じて崇めることで、何かが起きるのか、それは神頼みでもなく、日々の積み重ねの行動なのか、宗派の違いとはなんなのか、そういったことに思考を巡らせる。
登場人物と同じように、インガーの死について、目の前に起きた現実を受け止めて、神が奇跡を起こすことは”自然の摂理に反する”という台詞を理解する。
その状態からのラストシーンで、インガーか目を覚ますことは、観客にとっても奇跡的な瞬間になった。
シンプルだが確実に目に焼き付けられる。時が止まったように、ゆっくりとしたその瞬間。
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