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奇跡のmtのレビュー・感想・評価

奇跡(1954年製作の映画)
2.3
以前の復刻上映で勉強のために『裁かるゝジャンヌ』を見て、まあこんな感じかと思っていたのですが、その後何人かの評論家の方から”ドライヤーと言えば『奇跡』”というのを聞き、さらに直近で見たビクトル・エリセの『瞳をとじて』でも、セリフの中にドライヤーの名前が出て、何かしら運命を感じで劇場へ(同時期に再復刻されていたのも奇跡的)。
感想としては、歴史的古典であるということを十分理解したうえでフラットに感じたままにこんな感じではと思いました。
やはり演劇から映画への過渡期の作品だったと思うので、画作りもとても演劇的、演劇としてはかなりリッチな作りだったと思います。(そういう意味では『~ジャンヌ』は映画としての表現を一段推し進めた作品として再認識できました)
何よりも作品世界を大きく覆うものにカソリックによるキリスト教についての問答があり、その部分についてもっと身近な生活を送っている人でないと、この映画の本当のテーマは感じ取れないのかなと思いました。
愚者のように神に求め、祈らなければ、救いは与えられないという教えの体現だと思いますが、やはり自分としてはそれが西欧圏の反知性的態度にもつながり、やや懐疑的なスタンスになってしまいます。
モルテンとピーターの宗教観の違いとは、具体的にどういったところなのかちょっと気になりました。
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