mozzer

奇跡のmozzerのネタバレレビュー・内容・結末

奇跡(1954年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ドライヤー 特集の二本目 奇跡 を観賞。キリスト教についての知識は一般的なイメージくらいしかないけど、子供のように疑うことなく純粋にそうなってほしいと願うことが祈りとなり信じられないこと(奇跡)が起こるということなのかな。
成長するにつれ経験や知識、社会との関係性等に影響され、いつしか自分達が長年の間に作り上げた宗教感または神とはこうあるべきといった価値観に囚われ相手を受け入れられなくなる。それは神父でさえ、キリストの生まれ変わりと言う兄の言動を見て施設に入れた方がよいという言葉に表れている。それぞれの立場で言ってることは間違っていないが、それぞれが長い時間をかけて作り上げてきた宗教感や神とは こうあるべきといった思いが、少しずつ純粋さを失くしていく原因であったのではないか。
奇跡のタイトルの通り、どのようなことが最後起こるのかと思って観ていたが、どうしても最近の映画の見すぎなのか、派手な演出で凄いことが起きるんじゃないかとつい想像している自分がいた。
死んだ人が数日経って生き返ることも十分奇跡なんだけど、これはキリストの復活をなぞらえたものなのかな?兄が正気を取り戻して何かを書き残して出ていったけど、あれは聖書の一節で、その後の展開を暗示したものなのかな?
このところ宗教を扱った映画でスコセッシの沈黙や同じドライヤーのジャンヌをたまたま同時期に観たが、信仰とは言葉だけではなく、心の中で常に持ち続けなければならない信念のようなものだと感じた。
何かを信じるとはどういうことか改めて考えさせられた。
mozzer

mozzer