櫻イミト

一日だけの淑女の櫻イミトのレビュー・感想・評価

一日だけの淑女(1933年製作の映画)
4.0
「或る夜の出来事」(1934)の前年に作られたフランク・キャプラ監督の出世作。キャプラ監督の最後の作品「ポケット一杯の幸福」(1961)は本作のセルフ・リメイク。

街頭のリンゴ売りアニーの元へ外国で暮らす愛娘から手紙が届く。伯爵の子息と結婚することになり親と一緒に挨拶に来ると言うのだ。実はアニーは、娘への手紙上では裕福な紳士と再婚し貴婦人のように暮らしていると偽っていた。途方に暮れるアニーに、街の仲間たちやギャングの親分が手を差し伸べるのだが。。。

立場の弱い善人に幸せが訪れる話に弱い。周囲の協力により、アニーが淑女のように着飾って登場した時点で感涙した。弱者をかばうおとぎ話に次々と協力の輪が広がっていく。現実的ではないかもしれないが、本作を観てあらためて人には優しくするべきだと痛感させられた。それがファンタジーの力だと思う。

冒頭の夜の街頭シーンから画面に紗がかかりファンタジーが始まっていた。「或る夜の出来事」と同じく、90年前とは思えない完成度に感心するばかり。
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