TAK44マグナム

ノック・オフのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ノック・オフ(1998年製作の映画)
2.8
週末は機動戦士ヴァン・ダム!
というわけで、またまた土曜の貴重な夜を、ジャン・クロード・ヴァン・ダムさんの映画を観て消費しましたよ!

銀河股割コンテスト優勝者になる予定のヴァン・ダムが今回挑む敵は、模造品の中に超小型爆弾を隠して世界中を脅迫しようとたくらむロシアン・マフィア!
ヴァン・ダムは元模造品密輸業者で、現在はジーンズ会社の香港支社で働く運動神経抜群のチャラ男という無茶な設定。
しかし、チャラいけれど「家族」の絆を大切にするという役どころを意外にも無難にこなしていたりして、彼の成長を感じさせてくれますね。

監督が「香港のスピルバーグ」という今となっては恥ずかしいんじゃないかと思える異名をもつツイ・ハークで、アクション監督がサモ・ハン・キンポーなので、本作はヴァン・ダムを主役に招いた香港映画って感じ。
なので、序盤の人力車レースのハチャメチャさなど、アクションはもろに香港テイストです。
脚本は「ダイ・ハード」や「コマンドー」、そして「バトルランナー」のデ・スーザが書いているんですけど、中盤までは登場人物も多く、話がうまく整理されていないので、なんとなくゴチャゴチャしていて全体を把握しにくいのが難。どうした、デ・スーザ?!
もっとも、これはツイ・ハークの妙に凝り過ぎた演出のためかもしれませんけれど(苦笑)。
ビカビカしたCG使うイメージの強いツイ・ハークですが、本作は特に必要でない部分にもCG使ったり、変なショットを無理矢理に挿入したり、カットを細かくわりすぎていたりと、スマートさが全然感じられないのが個人的に気に入りませんでしたね。せっかくの「勢い」を殺してしまうカットが多かったと思います。
「これカッコいいだろ?」と、作り手だけが満足しているような画は、作り手のエゴイズムでしかないと思いますがね。

香港返還が背景にあってもあまり関係なかったり、思わせぶりに登場した女刑事も使い捨てだったり、最後までサッパリ分からない設定もいくつか散見されたり、とにかく雑なつくりが目につきました。
それが香港式といってしまえばそうなんですけどね(苦笑)。
マイケル・ウォンは必要なキャラだったのか?
主人公の友情の描き方が中途半端で、これならもっと相方のトミーをフィーチャーしてバディものみたいにした方が良かったのではなかろうか?
もっとシェイプすれば、ヴァン・ダム自体は悪くない感じなので良くなったと思うだけに残念な出来映えでした。

アクションに関しては、さすがはサモ・ハン・キンポーといった感じで魅せてくれるアクションが満載。
ヴァン・ダムの動きにもまだまだキレがある頃なので、自慢のキックも目にもとまらぬ速さで惚れ惚れします!
終盤のコンテナ船でのバトルは、濡れた床をつるつると滑りながら次々と敵を射殺してゆくヴァン・ダムなど、格好良さと笑いを見事に両立させた優良アクションが展開されて嬉しくなります。
ただ、ロシアン・マフィアのキャラがたっていないので、中ボスみたいなのを倒しても「で、あいつ誰だったっけ?」で終わってしまうのが勿体なかったですね。
全員、雑魚キャラにしか映らない(汗)。

ラストは、まるで特撮映画みたいに合成された大爆発を背景に「俺たちが組めば最強!」みたいになってましたけど、キャラクター自身に力がないので高揚感とかが薄いまま終了というか。
やはりキャラクターは重要なので、香港警察やCIA側はもっと簡潔で良いから、ヴァン・ダムとロシアンマフィアの対立に的を絞って描けば良かったと思うんですよね。

唯一、香港返還を祝う花火がネタとして機能するギャグオチだけが、大雑把な本作にお似合いのオチでしたよ。
笑えはしませんでしたが・・・

しかし、ヴァン・ダムの脂がのっている頃の映画ですので、最近の年とった彼しか知らない方や、ヴァン・ダムけっこう好きだけどこれは未見だったという方には、ヴァン・ダムが香港アクションに挑戦しているという点だけでもマストだと思いますので、そういった意味でオススメしておきます。
反対に、ヴァン・ダムに興味ない方には、ただの一山いくらのアクション映画にしかみえないと思いますので近寄らないほうが無難ですYO!


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