ゆん

十代 恵子の場合のゆんのレビュー・感想・評価

十代 恵子の場合(1979年製作の映画)
3.5
不良番長や筒井康隆作品でアナーキーな魅力を発揮する内藤誠監督作品。
受験勉強に行き詰まった女子高生が、冬休みに不良と関係し、ヤクザの情婦から薬物中毒者にまで転落する様を描く。

ロリ顔熟女のイメージがある森下愛子だが、若い頃は比較的老け顔なのだということが分かる。少し吊った大きな瞳と固く閉じた口元が神経質な印象を受け、媚びているようにも、恨みがましくも見える卑屈な目付きが実に艶っぽい。
言葉少なに、驚くほど自然体で堂々とした大物感は田中邦衛や大滝秀二なみの風格といっても過言ではないだろう。
衣装や説明的なセリフに頼らず、小さな体ひとつで少女がズベ公に墜ちるまでを演じる姿はまるで「ガラスの仮面」を見ているよう。
ストーリーには何も突出したものもなく、確か監督自身も思い入れが無いような事を言っていたが、森下愛子の瑞々しい魅力だけが光る良作だった。
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