円柱野郎

エレファント・マンの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

エレファント・マン(1980年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

19世紀末のロンドンを舞台に、見せ物小屋で奇異の目で見られていた“エレファント・マン”ジョン・メリックの後半生を描いた作品。

“普通”とは異なる姿をした者に対して抱く人間の感情、それを痛切に皮肉った作品だと思う。
見せ物小屋のオヤジにしても、学会での発表を目的に声をかけた医者にしても、「同じ穴のムジナ」というわけだ。
彼は知性がある心優しい人間であって、人間として生きることを望んでいるのに。
じゃあ、彼に興味を抱かない人間はいないかというと…俺自身だってこの作品を観ている時点で同じ穴のムジナか。
この作品は、その事を気づかせてくれました。

メリックはそういった扱いを受けてもひたすら耐えて生きていたのだと思う。
だからこそ中盤に医者の妻に普通に接してもらった時に涙し、終盤に人々に追いかけられた時に心から叫んだ。
彼の人生を通して自分の醜さを観ているようで少々キツいね…。

終幕、ついに他の人と同じ姿勢で眠ったメリックは天に召されたわけだけど、最期に人としての充足感は得られたのだろう。
多くのことを考えさせてくれる作品です。
円柱野郎

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