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エレファント・マンのFMLのレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
3.0
19世紀のイギリスに実在した"エレファントマン"ことジョゼフ•メリックの生涯

ダークファンタジーのような世界観に、肉体的、精神的両方の人の醜さと美しさをドラマチックに、エモーショナルに描きだす

"映画というファンタジー"にどっぷり浸るための作品であり、綺麗事だとかそんなことは気にしてはいけないし、気にするべきでもない。

実際のエレファントマンの写真を見ればわかるが、この醜さを実際目の前にして、おそらく大半の人が目を覆いたくなるだろう

そしてそんな彼に対して「醜くなんかない」なんて言葉をかけるのは、彼に対する侮辱にしかなり得ない
だって"醜くないわけがない"
人の価値観は、人は歪なものや自分とは違うものを、絶対に本能的に快く受け入れられない。

彼に対して優しくすればするほど、それは逆説的な差別になる。
その醜さからくる悲壮感、自己否定、想像を絶する人生
その全てを、彼の挙動のひとつひとつに垣間見てしまう。
彼の言う"美しい女性たち"が彼に対してどれだけ優しくしても、感動的な言葉をかけても、彼のことを好きになることはない。

彼の心の美しさは、確実に輝きを放ち、みんなに光を与えている。
だが、その光は彼の醜さに包まれ、直接的に誰かを照らすことはない。

けどそんな淡い光を必要とする人たちがいる。
彼のように暗闇で彷徨っている人たちの、どこに向かえばいいのかわからず立ち尽くしている人たちの、道しるべとしての灯火に彼の心はなり得るのである。
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