19世紀のイギリスに実在した"エレファントマン"ことジョゼフ•メリックの生涯
ダークファンタジーのような世界観に、肉体的、精神的両方の人の醜さと美しさをドラマチックに、エモーショナルに描きだす
"映画というファンタジー"にどっぷり浸るための作品であり、綺麗事だとかそんなことは気にしてはいけないし、気にするべきでもない。
実際のエレファントマンの写真を見ればわかるが、この醜さを実際目の前にして、おそらく大半の人が目を覆いたくなるだろう
そしてそんな彼に対して「醜くなんかない」なんて言葉をかけるのは、彼に対する侮辱にしかなり得ない
だって"醜くないわけがない"
人の価値観は、人は歪なものや自分とは違うものを、絶対に本能的に快く受け入れられない。
彼に対して優しくすればするほど、それは逆説的な差別になる。
その醜さからくる悲壮感、自己否定、想像を絶する人生
その全てを、彼の挙動のひとつひとつに垣間見てしまう。
彼の言う"美しい女性たち"が彼に対してどれだけ優しくしても、感動的な言葉をかけても、彼のことを好きになることはない。
彼の心の美しさは、確実に輝きを放ち、みんなに光を与えている。
だが、その光は彼の醜さに包まれ、直接的に誰かを照らすことはない。
けどそんな淡い光を必要とする人たちがいる。
彼のように暗闇で彷徨っている人たちの、どこに向かえばいいのかわからず立ち尽くしている人たちの、道しるべとしての灯火に彼の心はなり得るのである。