千年女優

エレファント・マンの千年女優のレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
4.5
19世紀末のロンドン。生まれつき頭蓋骨が変形していて歩行も困難にする青年で、見世物小屋でその姿を「エレファント・マン」と晒されるジョン・メリック。立ち寄った医師フレデリックに研究のために買い取られた彼が、実は高い知能を持つと証明して医師の理解を得る一方で面白がる周囲の悪意に翻弄されていく様を描いた伝記映画です。

重度の身体的障害で写真に残る実在の人物を描くことを企画した製作のジョナサン・サンガーがデイヴィッド・リンチを抜擢して作り上げた1980年公開の作品で、監督デビュー作の『イレイザーヘッド』に続いて強烈なインパクトを与えて世界中の映画賞にノミネートされると多くの芸術作品に取り入れられる等後世に大きな影響を残しました。

人に渦巻く複雑な心理に迫るリンチ作品らしく、不遇の人物の生き様をただお涙頂戴で描くようなことはせずに様々な人物を通して「マイノリティ」に対して抱く複雑な態度や感情を多角的に描いています。好奇心や揶揄、同情に親愛。正負の両方向にいくらでもあるそのどれもが持ちうるものであり、グラグラと自分を揺さぶられる一作です。
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