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エレファント・マンの440のレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
4.6
見た目による差別
純粋で心優しい青年

この作品が提示するメッセージをしっかり受け取りたいと強く感じさせられた。

他の作品とは違い、リアルな世界を描いているデヴィッド・リンチの衝撃作。

見せ物小屋でこき使われ金稼ぎの道具として扱われるジョン・メリック。
彼と出会った医師トリーヴスは研究のためメリックを入院させ、彼との生活が始まる。

正直この作品は絶対にしんどい話だと思って敬遠していたのだが、シーンシーンの切り替えが短めのおかげでどん底に気持ちが落ちる手前で別の話になり、とても助けられたし最後まで何とか鑑賞する事が出来ました。

見た目恐ろしい容姿により不憫な生活を強いられていたメリック。
精神的にも肉体的にも苦痛を負ってしまった彼は会話すらも出来なかったが、トリーヴスのおかげで回復していく。

見せ物小屋のオヤジなど金儲けに利用する人もいれば容姿に驚き逃げ出す人もいるが、そんな彼に救いの手を差し伸べる人もいる。

トリーヴス医師は、メリックを病院に連れてきた事が本当に幸せだったのか?見せ物小屋のオヤジと同じなのでは?と悩みます。

何が良かったのかはメリック自身が決めること。
完全な自由ではないけど、彼が良いと思った人生を選べる環境になっていた事は良かったと思う。
最終的にメリックは幸せそうだったし。

しかしメリックを逃がしてくれた見せ物小屋の仲間たちや同様に生活を困窮している人たちは他にも沢山いる。
全ての人が幸せになれる事は不可能。
この作品を鑑賞してそのメッセージを1番強く受け取ってしまったため、エンドロールを見つめながら絶望感に襲われました。
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