デヴィッド・リンチ監督を世に知らしめた本作。
観るまではホラー的な位置付けと認識していたけれども、実際は全然ちがった。
やるせなさと悔しさがほとんどだったが、温かさも確かに見出すことができた。
非常に複雑で多様な感情を引き出された2時間。
"僕は象じゃない 人間だ"
彼は壮絶な経験をしてきたが、普段はとても温厚で控えめだ。
そんな彼がついに心からの叫びを発した時には不覚にも涙が込み上げてきた。
そしてやはりこの一言。
"僕の人生は満たされている。愛されているから"
だれにも推測し得ないほどつらく悲しい思いをしてきたはずの彼がこんなセリフを言うものだから、グッとこないわけがない。
社交界のおばさまがサラッと言っていたが、
"人間は理解できないものを恐れる"というのはまさにその通りだと思った。
だれの心にもある人間の嫌な部分も、善悪とはなにかということも、色々と考えさせられる深い作品だった。
つい長くなってしまった。笑
リンチ監督らしい不思議なカットも多用しながら彼の他の作品のようなとっつきづらさや難解さはない。
長くあまねく愛される理由がよくわかった気がする。