佐藤克巳

朱と緑 緑の巻の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

朱と緑 緑の巻(1937年製作の映画)
4.5
前篇朱の巻は謎多きメロドラマで、しがない大阪の会社員上原謙が、東京の紡績会社重役奈良真養の娘高杉早苗と、大阪の仲人業岡村文子の娘高峰三枝子との三角関係で、大阪に家出した高杉と駈落ち状態に、割って入る奈良の愛人で雑誌社経営東日出子の存在が不気味。後篇に入りこの作品が、「家族会議」と姉妹編である事が分かって来る。高杉が持ち出した株券を奪還するため奈良が来阪し、失恋に苦しむ憂さを競馬で晴らす高峰に愛を抱き東と決裂する。政治ゴロ河村黎吉の悪巧みを断った高峰は、高杉に負けを認め二人を祝福するが蒸発し、高杉は法廷で証言に立ち窮地の佐分利信を救う。上原と高杉は、父奈良の了解を得る。前作より見劣りがするが、ほとんどが大阪が舞台で、競馬場の熱気が素晴らしい。
佐藤克巳

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