たまたま会社の爺さん連中と話をしていて「劇場版では3と4が傑作」と聞いたもんで、まずは3から。
う~ん・・・。
あくまで、テレビシリーズに親しんでいることが前提。もちろん、親しんでいるどころかドップリ世代だったもんで、メロディ聴いただけでテンション上がった。
が。
これ、キャラ違うやん。本来、昼行灯と凄腕の殺し屋という落差、すなわちオンとオフの差が魅力だったのに、終始シリアスすぎる上に、いつものイヤミな上役もヨメも姑も、いつの間に何を善い人になってんだよ。
おそらく、人気テレビシリーズを東映の大御所監督に撮らせる、って企画が売りだったんだろうけど、工藤栄一なんて黄金期の集団時代劇の人だから、まともすぎて、このドラマとはテイストが合わないんだよね。そもそも、このシリーズ、マカロニ・ウエスタンだから。劇伴を聴きゃ分かるだろ。
ただ、クライマックスは自身の名作『十三人の刺客』を彷彿させる盛り上がり。細い路地に追い込んで斬って斬って斬りまくり、お屋敷に上がって襖開けて斬って襖開けて斬って襖開けて斬って襖開けて開けて開けて斬って斬って斬って、後ろから前から刺す刺す斬る斬るで組んづほぐれつのカオスが見どころ。
でも、結局は自作の廉価版になっちゃった。
あの必殺シリーズが、巨匠の手でガラリと雰囲気を変えてお目見えしました、って点は大いに評価に値するんだけど、ぶっちゃけ、雰囲気なんて変えてほしくなかったんだよ。こっちが食いたかったのは十割蕎麦じゃなくてスパゲッチーのナポリタンだったんだから。