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スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐のrensaurusのレビュー・感想・評価

4.9
スペースオペラでこんなにも愛憎の渦巻いた悲劇を描けるのはスターウォーズだけ。

アナキンが愛に狂っていく様が本当に悲しい。そしてオーダー66という一大事変も重なり、途轍もない喪失感に迫られる。

ハイライトは何と言ってもアナキン対オビ=ワン。華やかで情熱的な殺陣で視覚的にも楽しく、一つ一つのやりとりに年月と気持ちの重みを感じさせる。

アナキンがダークサイドに堕ちたのは単なる思想ではなく、強烈で未熟な愛と、喪失への恐れによるものであることが丁寧に描かれる。ダース・シディアスに絆され、漬け込まれ、言葉巧みに誘導されて、心の安寧を失っていく。元々政治に疎く、大局観がないので自分の狭窄した視野で突き進むことしかできないところが敗因かなと。それにしても史上最高のヴィランだな。

オープニングから宇宙戦で盛り上がり、中盤から終盤まではアナキンの悲劇を描き、ダース・ヴェイダーの誕生と、タトゥイーンの美しい夕焼けで締め括られる。序盤中盤終盤と隙が無い作品。ここからあの伝説が始まっていくことに最高の依代があるし、クローンウォーズやその周辺作品の再評価も相まって、重みが増してきている。
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