津軽系こけし

死闘の伝説の津軽系こけしのレビュー・感想・評価

死闘の伝説(1963年製作の映画)
4.4
日本の心は死んだ


【初木下恵介監督】

✍️日本人の悪質な集団心理。戦争中なら尚更悲惨に決まってる。

🟩戦後を代表する映画監督,木下恵介(きのしたけいすけ)の戦争映画です。木下監督は、国内での評価ならしばしば黒澤明すら凌駕することもあったらしいのですが、フィルマークスではあまり認知されていない様子です。
私も今回初めてこの方の映画を観ましたがなかなかに強烈な作品です。

⬛️〈あらすじ〉
舞台は大戦期の田舎の寒村。そこへ疎開してきた園部一家が、村長の息子の縁談を断ったことから、痛烈な村八分を受けます。そして”あること”をきっかけに、戦争のために抑圧をしいられてきた村人らのタガが外れて、園部家をその吐口として執拗に攻撃し始めます。

⬜️カメラを横に移動させてゆくトラッキングショットを多用していて、そのどれも鮮烈な印象です。アイヌっぽい民芸音楽を、不安と緊張の演出に使っているので無類の不気味さがあります。

回想という形でその悲劇の時代に遡ってゆくのですが、導入とラストは現代の何気ない日常風景が映されます。まるで、過去の悲劇なんか忘れ去られているようなそのギャップに胸を締め付けられます。残忍な話って忌み嫌われるために忘れてしまいたくなるけれど、残忍で不条理だからこそ忘れてはならないし、教訓として言い伝えていかなければならないと思う。

【モノクロはやはり恐ろしいねなまとめ】

🟩攻撃していい相手を見つけると、人って一段と強くなりますよね(笑)だからニュースとかでも芸能人の不祥事とか、スキャンダルばかりがやっぱりもてはやされるわけです。正義だなんだと現代人は並べ立てるけど、本質はなんにも変わっていないのだなと思いました。

素晴らしい映画に出会えました。
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