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死闘の伝説のmhのレビュー・感想・評価

死闘の伝説(1963年製作の映画)
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北海道の寒村で起こった村民同士の殺し合いから、日本社会の問題点を浮かび上がらせた野心作。
サンドイッチ式回想でパンにあたる部分がカラー。具はモノクロという趣向。
中支で見かけた虐殺やってた士官は地主の息子だった。旧軍は師団まるまる同郷で固めることが多いのでこれは実際あり得るパターン。
だれかの狂気がはじまるとムックリによるBGM(びよんびよんいうあれ)がはじまるようになってる。アイヌの楽器という土着的な要素を取り込んでるのうまいけど、狂気のシンボルみたいに使われてるのはどうかと思う。まあ、狂気っぽいけどねw
ムックリによるBGMは、あちこちの邦画、日本のドキュメンタリーで使われている。もしかするとこの映画がその走りかもしれない。
最後、カラーに戻ってきても、びよんびよん鳴ってる。でも画面には不穏なものが写ってない。これがじわじわ怖い。
松竹時代の菅原文太が存在感発揮しているけど、のちの輝きはまだ見られなかった。大部屋にいないだけの大部屋役者みたいな雰囲気で、つくづく東映に移籍してよかったね。連れてった安藤昇はもっと評価されるべき。
いや、もっと評価されるべきは木下恵介監督だね。
黒沢や小津に比べて評価・扱いが小さすぎる。Wikipediaのこの映画のページは、アルメニア語版とロシア語版があるだけ。カルト人気が爆発してもなんらおかしくないのにな、ほんとなんでなんだろ。
遠くまで伸びた泥道で行われるクライマックスの銃撃戦も素晴らしかった。
面白かった。
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