広島カップ

死闘の伝説の広島カップのレビュー・感想・評価

死闘の伝説(1963年製作の映画)
4.0
終戦間近の北海道に都会から疎開者がやって来た。そこに陰湿な疎開者イジメが始まり、やがてその村全体を巻き込んだ殺し合いにまで発展していく。

『二十四の瞳』(1954)で穏やかな瀬戸内を撮った人のものとはとても思えない木下監督の作風の幅の広さを感じます。サム・ペキンパーからスローモーションと爆裂ダイナマイトを除いたような感じもする作品。

加藤嘉も若き加賀まりこも狩猟用鉄砲をバンバンぶっ放し、菅原文太もいかにもペキンパー作品にも出てきそうな悪者ブリ。
ビョ〜ンビョ〜ンという音のするアイヌ民族の楽器であるムックリを使った音楽がループ気味に流れてトリップしそうになったり、大事な場面のカメラの前をハエが平気で横切ってもお構いなしのワイルドさ、逆光なにするものぞと撮った影になった暗い人物表情の屋外クローズアップなどラフな画面が続いていくのは、本当に木下恵介か?という感情が観客に湧いて来ると思う。

敗色濃厚な戦時下の日本に村八分思想というジメジメした重たい綿布団を被せて来て、バイオレンスに解決させた木下監督の弾けた一本。

これはビックリしました!
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