三樹夫

ダラスの熱い日の三樹夫のレビュー・感想・評価

ダラスの熱い日(1973年製作の映画)
3.8
ケネディ暗殺はオズワルドの単独犯ではない、真の黒幕はこういう連中だという政治陰謀劇映画。脚本がトランボなためか反権的な内容で、ケネディ暗殺を計画する連中が碌な奴らじゃない権力者の集まりになっている。ケネディ暗殺を企てる側を70年代らしいドキュメンタリータッチで描写しており、実際の映像も度々挿入することでこの映画の陰謀論の現実性を高める演出をしている。

ベトナムからの撤退や黒人の地位向上、ソ連との融和路線などをとるケネディに対して、反共で白人至上主義的で右翼の元CIAだの資本家だの元将校だのが、このままじゃアメリカがダメになると危機感を抱いたというか、ただ単に自分たちに不都合だからケネディ暗殺しよと、ケネディ暗殺に向けて計画をたて周到に準備をし実行に移す90分。オズワルドは暗殺犯としての身代わりという、こいつら自分の既得権益を守るためにクズ過ぎるだろと観ててなるが、あくまで映画は淡々としており引いた視点から暗殺側を描いているし、何となくは分かるが、誰が一体どういった人物なのかはあまり分からないようになっている。ボス格のジジイがいるが、ケネディ暗殺計画にGOを出す判断が右派的なニュース映像を見て反共心を煽られたからという、こんなのただのネトウヨだろ。
もの凄い真面目な映画だが、暗殺を企てる側の思想が今観ると(当時もそうなのかもしれないけど)ネトウヨ的というか結構ヤバめだったり、真剣にアイコラやっていたり、偽物オズワルドのオズワルドはヤバい奴アピールなど、ちょこちょこ何なんだこいつら感というか、滑稽さが漂い困惑する。
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